割れた瓶から生まれた、はちみつ梅


先日、赤しそ酒を仕込んでいるときのこと。
うっかり梅酒の大瓶にぶつけてしまい、瓶を割ってしまった。

幸い梅酒そのものは取り出していたけれど、中にはまだ梅が残っていた。
その梅酒は、生前父が作ったものだった。

割れた瞬間、慌てた。
ガラス片の中から梅をひとつずつ拾い上げた。

捨てるという選択肢はなかった。

急いで家の中にある空き瓶を集めた。
ストックしていたコーヒーの空き瓶。
保存用のタッパー。
気づけば、取っておいた容器を全部使い切っていた。

こういう時、普段から「何かに使えるかも」と残していたものが役に立つ。

それだけでも十分だったのに、さらに思い出した。
最近参加した投資セミナーの抽選で当たったはちみつがあったことを。

せっかくだから、そのうちのひとつの瓶に注いでみた。

数日後、はちみつ梅ができあがった。

割れた瓶。
父が残した梅。
取っておいた空き瓶。
たまたま当たったはちみつ。

一見バラバラだったものが、ひとつの流れの中でつながった。

失敗から始まったのに、新しいものが生まれた。

リサイクルというと大げさだけれど、こういうことなのかもしれない。
ただ再利用するだけじゃなく、手元にあるものを組み合わせて次の役割を与えること。

物だけじゃない。
父が作った梅酒の時間も、こうして少し形を変えて続いていく。

割れた瓶は戻らない。
でも、その中身はまた次の暮らしへつながっていく。

そんな小さな循環を、私はこれからも大事にしたい。