パリで暮らしていた時、私にとってスーパーは「買い物をする場所」ではなかった。
むしろ、毎日の小さな冒険のような場所だった。
今日はどんな野菜が並んでいるんだろう。
どのヨーグルトが安くなっているだろう。
このチーズ、食べ切れるかな。
今日は炭水化物を多めにした方がいいかな。
そんなことを考えながら店内を歩く時間が、私は好きだった。
観光地に行くより、現地のスーパーに行く方が、その国の生活が見える。
どんなものを食べ、
どんな価格帯で、
どんな人が買い物をしているのか。
生活感がそのまま並んでいる。
帰国後、日本ではしばらくその感覚が戻ってこなかった。
ただ必要なものを買い、
早く帰るだけ。
でも最近、少し変わってきた。
ジム通いを始めてから、
「今日は体が何を欲しているか」を考えるようになった。
魚のあらを選ぶ日もあれば、
鶏むね肉を選ぶ日もある。
運動前後で炭水化物の量を変えてみたり、
余っている調味料をどう活かすか考えたり。
最近は、おつとめ品コーナーを見るのも楽しい。
安いから買うのではなく、
「今日はこれをどう使おう」と考えるのが面白い。
赤肉メロンやいちごを見つけた時は、少し気分が上がった。
以前の私は、
スーパーを“節約の場”として見ていた気がする。
でも今は違う。
生活を組み立てる場所になっている。
限られた予算の中で、
自分の体や気分を観察しながら、
食材を選んでいく。
それは少し、研究にも似ている。
そして気づいた。
パリで好きだったのは、
「フランス」という場所だけではなく、
自分で生活を作っていく感覚だったのかもしれない。
最近、日本のスーパーを歩きながら、
あの時の感覚が少し戻ってきている。