以前の私は、何かしていないと落ち着かなかった。
予定を入れて、動いて、時間を埋める。
何もしていない時間があると、どこか不安で、
「このままでいいのかな」と考えてしまうこともあった。
そんな自分が当たり前だと思っていた。
パリで過ごした時間の中で、
ひとりでいる時間が自然と増えた。
カフェでコーヒーを飲んでいるとき。
部屋で静かに過ごしているとき。
夜、街の音が少し落ち着いてくる時間。
何かをしているわけではないのに、
その時間が不思議と心地よかった。
最初は少し戸惑いもあったけれど、
気づいたらその「何もしない時間」を
そのまま味わえるようになっていた。
以前は、何もしない時間があると落ち着かなくて、
何かで埋めようとしていた。
コーヒーを飲んだり、
一服したりして、
自分の中に“区切り”を作っていたこともあった。
でも今は、そういうものがなくても、
ただ静かな時間の中にいられる。
帰国して福岡で生活するようになってからも、
その感覚は消えなかった。
夜、静かな時間の中で、
特別なことをしなくても落ち着いていられる。
コーヒーを飲んで、何もせずに過ごす時間。
ただそれだけで、十分に満たされていると感じる。
振り返ると、変わったのは環境ではなく、
「時間の感じ方」だったのかもしれない。
以前は、外側で満たそうとしていた。
今は、静けさの中で満たされる。
パリにいたから特別だった、というよりも、
パリでのひとり時間がきっかけで、
自分の中にあった感覚に気づいただけなのかもしれない。
どこにいても、
同じように夜の静けさを感じられる。
何もしない時間を、そのまま味わえる。
それだけで、少し安心している自分がいる。
あの時間は終わったものではなく、
今の生活の中にもちゃんと続いている。
そう思えるようになったのが、
一番大きな変化かもしれない。