パリでの3か月の滞在中、できるだけお金を使わない生活をしていた。
節約のためでもあったが、それ以上に、「どこまでシンプルに暮らせるか」を試してみたい気持ちがあった。
外食はほとんどせず、スーパーで食材を買って簡単に調理する。
特別な場所に行くこともなく、日々は近所を歩いたり、部屋で静かに過ごしたりする時間が中心だった。
いわゆる“贅沢なパリ滞在”とは少し違う過ごし方だったと思う。
それでも不思議と、満足度は高かった。
むしろ、お金を使っていない時間の方が、心は安定していたように感じる。
なぜそう感じたのか。
ひとつは、日々の選択がとてもシンプルだったことがある。
どこに行くか、何を食べるか、何にお金を使うか。
そうした判断の回数が減ることで、気持ちが静かに整っていった。
もうひとつは、「足りている」という感覚を持てたことだった。
限られた環境の中で生活していると、
新しく何かを足すよりも、今あるもので満たされていく感覚の方が強くなる。
その結果として、過剰に何かを求めることが少なくなっていった。
日本にいると、気づかないうちに「何かを買うこと」や「体験を増やすこと」が前提になっていることが多い。
けれど今回の滞在で感じたのは、
必ずしもお金を使うことが、満足度に直結するわけではないということだった。
もちろん、旅行としてパリを訪れる場合には、
美術館やレストランを楽しむことも大きな魅力だと思う。
ただ、もし少しだけ余裕があるなら、
お金を使わない時間をあえてつくってみるのもひとつの方法かもしれない。
何気ない時間の中に、思っている以上の満足感があることに気づくことがある。
※この内容は、実際に約3か月のパリ滞在で体験したものです。