なぜ、観光をしない方が、こんなにも記憶に残るのか。
それは、何もしていない時間の中に「余白」があったからだと思う。
観光をしていた頃は、次に行く場所や時間を常に気にしていた。
その分、目の前の景色をゆっくり感じる余裕が少なかったのかもしれない。
一方で、今回の滞在では、あえて予定を詰め込まず、
ただ歩き、ただ過ごす時間をそのまま受け取っていた。
すると、不思議なことに、
特別ではないはずの時間が、ゆっくりと自分の中に積み重なっていった。
夕方の光や、部屋の静けさ、窓の向こうに見える誰かの生活。
そうした小さな要素が重なり合って、記憶として残っていく。
観光で得られるのは「点」のような思い出だとすれば、
生活の中で感じる時間は、ゆるやかにつながる「線」のように残る。
今回のパリ滞在で強く感じたのは、その違いだった。
もちろん、限られた日程で訪れる旅行では、観光を楽しむことも大切だと思う。
ただ、もし少しだけ余裕があるなら、
予定をひとつ減らして、何も決めない時間をつくってみるのもいい。
同じ街でも、見え方が少し変わるかもしれない。
※この内容は、実際に約3か月のパリ滞在で体験したものです。