日本に戻ってきて、ふと違和感を覚えたことがある。
それは「接客の丁寧さ」だ。
スーパーのレジでも、会計が終わると深く頭を下げられる。
言葉もとても丁寧で、対応もきちんとしている。
一見すると、とても気持ちのいいサービスだと思う。
でも、なぜか少しだけ「重い」と感じる瞬間があった。
フランスをはじめとしたヨーロッパでは、
スーパーのレジ対応はとてもシンプルだ。
会計が終われば「ありがとう」で終わる。
必要以上のやりとりはない。
最初はその対応を「少し雑かもしれない」と感じていた。
でも、時間が経つにつれて、そのシンプルさが心地よくなっていった。
日本の接客は確かに礼儀正しい。
でも、その「丁寧さ」は本当に中身と一致しているのだろうか。
言葉や動作は完璧でも、
それがマニュアルとして繰り返されているだけのように感じることもある。
もちろん、すべてがそうだというわけではない。
ただ、形式としての丁寧さが先にあり、
そこに本当の意味での「尊重」がどれだけ含まれているのか、
少し考えてしまう瞬間がある。
一方で、ヨーロッパの接客はシンプルだ。
愛想がいいわけでもないし、特別に丁寧でもない。
でも、その分、対等な関係として扱われている感覚がある。
必要以上に気を使われない。
だからこそ、こちらも気を使いすぎなくていい。
日本の接客は「礼儀正しさ」が強く、
ヨーロッパの接客は「距離感」がちょうどいい。
どちらが良いかという単純な話ではない。
ただ、日本の丁寧さの中には、
どこか「形式」が先に立っているように感じることがある。
そしてその形式が、時に人との距離を少しだけ重くしているのかもしれない。
パリで感じた「尊重」は、もっとシンプルだった。
干渉しないこと。
必要以上に踏み込まないこと。
それが結果として、心地よさにつながっていた。
日本に戻ってきて感じた違和感は、
「丁寧さ」そのものではなく、
その丁寧さがどこから来ているのか
という部分だったのかもしれない。
礼儀正しさと、尊重。
似ているようで、少し違う。
その違いに気づいたことが、
今回の一番大きな発見だった。