パリで心に残ったのは、人との小さな出会いだった


パリ旅行で何が一番印象に残ったかと聞かれると、有名な観光地の名前はあまり出てこない。

私の記憶に残っているのは、人との何気ない出会いだ。

滞在中、私は毎朝BnFへ通っていた。そのためにバスに乗るのが日課だった。

ある日、通学中の小学生たちが私に向かって手を振ってくれた。

私は驚きながらも手を振り返した。

ほんの数秒の出来事だったが、その光景は今でも覚えている。

また、よく通っていたチーズ専門店では、何度かブルーチーズを買っているうちに店員さんから「出身はどこ?」と聞かれたことがあった。

ローカルの図書館でも、子どもが私に向かって手を振ってくれた。

私は外国人として見られていたのだと思う。

しかし、それは決して差別的なものではなかった。

むしろ、「どこから来たの?」「どんな人なの?」という素朴な興味や親しみのように感じた。

旅先では有名な建物や美術館ももちろん素晴らしい。

けれど私の心に残ったのは、街の人々との小さな交流だった。

毎朝のバス。

チーズ専門店での会話。

図書館での子どもの笑顔。

そうした出来事を通して、私は観光客としてパリを訪れたというより、ほんの少しだけパリの日常の中に入れてもらえたような気がしている。

そして今振り返ると、それこそが私にとって一番贅沢な旅の思い出だったのかもしれない。