帰国してから、私は街を見る時に、あることを確認している。
スーパーとドラッグストア、そして生活用品店の位置関係だ。
最初は自分でも不思議だった。
「あ、このスーパーは帰り道に寄りやすい」
「ドラッグストアが近いから洗剤もまとめて買える」
「ジム帰りにこのルートなら無理がない」
そんなことばかり考えている。
でも最近、その感覚に覚えがあることに気づいた。
これは、パリ生活そのものだ。
海外で暮らし始めると、観光とは違う視点で街を見るようになる。
どこのスーパーが使いやすいか。
どこなら歩いて回りやすいか。
どの店で何を買うか。
荷物を持っていても疲れない動線か。
生活が始まると、街は「観光地」ではなく、「日常を回す場所」になる。
私はパリで、それを毎日のように考えていた。
そして今、日本に戻ってからも、同じことをしている。
だから最近の私は、ただ「安い店」を探しているわけではない。
もちろん価格は気にする。でも、それだけではない。
自分の生活に自然に組み込めるか。
無理なく続けられるか。
気持ちよく回れるか。
そちらのほうが大事になってきた。
以前は、「節約」という言葉で考えていた気がする。
でも今は少し違う。
生活を整えたいのだと思う。
しかも、完璧な暮らしを目指しているわけでもない。
今日はこのスーパー。
洗剤はドラッグストア。
魚はあの店。
帰りにコーヒーを飲むならここ。
そんなふうに、自分の中で街の地図ができていく感覚が面白い。
帰国して1か月。
派手なことはしていない。でも、私は毎日ちゃんと生活している。
そしてその感覚は、確実にパリ生活の続きなのだと思う。