旅のお土産を「使う」ことで、日常に世界が戻ってくる


ここ2年ほどの間に、いくつか海外旅行をした。そのたびに小さなお土産が増えていった。

メープルシロップはカナダで3種類。
ウーゾとハーブはギリシャで。
ベトナムコーヒーはベトナムで。
そして、コッツウォルズでははちみつを買った。

どれも、旅の記憶が詰まったものだった。


もったいなくて使えなかった時間

正直に言うと、しばらくそれらは使えなかった。
「もったいない」という気持ちがあったからだ。

特別なときに使おうと思いながら、
気づけば棚の中に並んでいるだけになっていた。

でも最近、ある感覚が変わった。


使わない方が、もったいない

あるときふと思った。
これは取っておくためのものではなく、
使うために持ってきたものではないかと。

使わなければ、ただの“思い出の物”で終わってしまう。
でも使えば、日常の中にもう一度旅が戻ってくる。

そう気づいてから、少しずつ使い始めた。


日常の中に混ざる世界

朝のヨーグルトにメープルシロップをかけると、
少しだけカナダの空気が戻ってくる。

ベトナムコーヒーを淹れると、
いつもの朝とは違うリズムになる。

ギリシャのハーブやウーゾは、
夜の時間を少しだけ非日常に変えてくれる。

イギリスのはちみつは、
ただの食事をやさしい時間にしてくれる。

特別なことはしていないのに、
日常の中に小さな旅が混ざっていく感覚がある。


旅は終わっていなかった

気づいたのは、
旅は帰国した瞬間に終わるものではないということ。

持ち帰ったものをどう扱うかで、
その後の時間の質は変わる。

お土産は思い出として飾るものでもいいけれど、
「今の生活の中で使うもの」に変わったとき、
それはただの記念品ではなくなる。


おわりに

旅の記憶は、遠くに置いておくものではなく、
日常に溶かしていくことができる。

小さな一滴のメープルシロップや、
一杯のコーヒーの中に、
そのときの景色がふと戻ってくる。

そうやって、私は今も小さく旅を続けている。