パリに滞在していたとき、私はとても落ち着いていた。
でもそれは、カフェでのんびりしていたからでも、
観光を楽しんでいたからでもない。
むしろ逆で、
とても地味な生活をしていた。
朝は、いつも同じブランジェリーに行ってバゲットを買う。
特別な会話をするわけでもなく、ただ「いつもの」やりとりをする。
そのあと、図書館へ向かう。
静かな空間で、フランス語の勉強をする。
毎日同じ場所で、同じように机に向かう。
それが自然とルーティーンになっていた。
生活に必要なものは、すべて徒歩圏にあった。
スーパーも、図書館も、日常のすべてが近くにある。
移動に追われることもなく、無理もない。
ただ淡々と、一日が流れていく。
ときどき、好きな古着屋に行く。
何か特別なものを探すわけではないけれど、
その時間もまた、日常の一部だった。
今振り返って思うのは、
私が心地よかった理由は「パリ」という場所そのものではなく、
生活の動線が整っていたことだったのだと思う。
日本に帰ってきてから、その違いに気づいた。
どこか落ち着かない。
やることは同じでも、感覚が違う。
パリにいたときは、
一つひとつの行動が自然につながっていた。
でも今は、どこか分断されている感じがある。
40代になって、これからの生き方を考えることが増えた。
大きな不満があるわけではない。
でも、このままでいいのかと思うことはある。
現実的に考えれば、簡単ではない。
お金のこともあるし、仕事のこともある。
将来の不安も、ゼロではない。
それでも、もう一度あの生活に戻りたいと思った。
理由はシンプルで、
自分の生活が、ちゃんと一つにつながっている感覚があったから。
今、私は福岡で生活している。
毎日フランス語を勉強して、
走って、体を動かして、
ノートに日記を書く。
そして、できるだけ生活の動線を整えようとしている。
パリとまったく同じにはならない。
でも、あのとき感じた心地よさは、
環境だけの問題ではなく、
生活の組み立て方の問題でもあると思っている。
40代で何かを変えるのは簡単ではない。
でも、自分にとって何が心地いいのかは、
もうわかっている。
だからこそ、
その感覚をもう一度、自分の生活に取り戻したいと思う。
このブログでは、
そんな「生活を整えていく過程」を書いていこうと思う。
派手な変化はないかもしれない。
でも、確実に自分の中では動いている。
カフェに行った思い出よりも、
毎日のバゲットや図書館の時間のほうが、
私にとっては大事だった。
私は今、その続きを生きようとしている。