パリにいたとき、
図書館に通うことは特別なことではなかった。
生活の中に自然に組み込まれていて、
気づいたら毎日のルーティーンになっていた。
日本に帰ってきてから、同じようにはいかなくなった。
環境が違う。
動線も違う。
図書館に通うという流れは、
今の生活の中にはない。
最初は少し戸惑った。
「このままで大丈夫なのか」
「パリにいたときより、後退しているのではないか」
そんなふうに思うこともあった。
それでも、学習をやめようとは思わなかった。
理由はシンプルで、
フランス語を勉強している時間が、自分にとって一番落ち着くから。
ノートに書き出す。
文章を組み立てる。
思い出しながら、言葉を探す。
うまく書ける日もあれば、
まったく進まない日もある。
でもその時間は、
確実に自分の中に積み重なっていく。
もう一つの理由は、
これが自分の軸になっているから。
仕事のことを考えて不安になる日もある。
将来のことが見えなくて、気持ちが重くなる日もある。
そんなときでも、
フランス語の勉強だけは続けている。
何かがうまくいかなくても、
これだけはやっている。
そう思えることが、
少しだけ自分を支えてくれる。
パリにいたときは、
環境が自然と学習を支えてくれていた。
でも今は違う。
自分で続けるしかない。
だからこそ、続いているのかもしれない。
誰かに言われたわけでもなく、
義務でもない。
ただ、自分がやりたいからやっている。
40代になってからの学びは、
結果を急ぐものではないと思っている。
すぐに何かが変わるわけではない。
でも、続けていれば、
確実に何かは積み上がる。
図書館に通えなくても、
パリと同じ環境ではなくても、
学ぶこと自体は、どこでもできる。
むしろ今は、
環境に頼らずに続けていることに意味があると思っている。
この積み重ねが、
また次につながると信じている。
私は今日も、同じようにノートを開く。