日本に帰ってきてから、ふと戸惑うことがある。
人と、どう接すればいいのか。
パリでの生活では、人との距離はもっと近かった。
目が合えば軽く笑顔になるし、短い言葉を交わすことも自然だった。
でも日本では、そのままの感覚でいると少し浮く。
フレンドリーすぎると、どこか不自然に見られる。
場合によっては、警戒されることさえある。
だからといって、無表情で距離を取りすぎると、
今度はどこか冷たい感じがしてしまう。
その間で、少し迷う。
どちらに合わせるべきなのか、と。
でもしばらくして気づいた。
合わせる必要はないのかもしれない。
日本には日本の心地よい距離感がある。
パリにはパリの自然な近さがある。
そのどちらかに寄せるのではなく、
自分の中で少しだけ調整すればいい。
距離は日本のままでいい。
でも、表情は少しやわらかくする。
無理に話しかけなくてもいい。
でも、目が合ったときにほんの少しだけ反応する。
それだけで、人との関係は少し変わる。
フレンドリーさは、会話の量だけではない。
ほんの一瞬の表情や空気でも、十分に伝わる。
日本で感じる安心感と、パリで感じたつながり。
その両方を知っているからこそ、
自分なりのバランスが見えてくる。
フレンドリーすぎると浮いてしまうこの国で、
どう人と接するか。
その答えは、どちらかに合わせることではなく、
ほんの少しだけ、自分の感覚を足すことなのかもしれない。